第2章:ベタのプロフィール

■ベタとは?

本来、“ベタ”という言葉は、アナバス目ベロンティア科マクロポーダス亜科ベタ属に含まれる魚種の総称として用いられるべきものです。しかし現在は、一般的にアメリカや東南アジアの観賞魚養殖場で生産される、ベタ・スプレンデンス(Betta splendens REGAN,1909)の改良品種を指して用いられることが多いようです。
アナバス目に含まれる魚の最大の特徴は、迷宮器官、または迷路状器官(Labyrinthiform Organ)と称される呼吸器官にあります。
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原種ベタとしては比較的入手が容易な
ベタ・インベリス(Betta imbellis)。
魚類の呼吸器官の一部である鰓の一部の上皮が変化して形成されたこの器官は、簡単にいえば「水の膜を通して空気中の酸素の吸収を可能とする」器官で、そのため、アナバス目の魚は水中の溶存酸素量がごく少ない環境下でも、大気中の酸素を呼吸して生存することが可能となるのです。

■自然界での生活の様子

“ベタ”として最もポピュラーな種がベタ・スプレンデンスです。本種の雄同士を一緒にすると、どちらかが死ぬまで凄じい闘争を繰り広げますが、その理由は彼らの生息環境にあります。
湿地帯に無数に存在する、ちょっとした水溜まりや分水流。本種はそんな場所に生息しますが、いかんせん、小さな水溜まりでは、餌にも水中の溶存酸素量にも限度があります。 このような環境に適応するため、呼吸に関しては、長年にわたる進化の過程で特殊な呼吸器官(=迷路状器官)が発達し、「大気から酸素を吸収する」という「逃げ道」が確保されました。
しかし餌に関しては、1尾のベタがその生命と健康を維持するうえで最低限必要な餌量と、それだけの餌量が産出される最低限の「空間(=テリトリー、縄張り)」を確保する必然に加えて、餌の問題とは別の「種の保存」という本能の点で、特に同種の雄とは徹底的に戦い、敗者、すなわち弱者は死ぬという途を運命づけられてしまいました。

■ユニークな繁殖形態

発情したベタの雄は、水面に自分の口から吐き出した泡を集めて巣を作りますが、これを「泡巣」と呼びます。巣ができたら、次に同じく発情状態にあって産卵間近な雌を水面の泡巣のそばへと追い上げ、雄はその大きな体で、雌を巻き込むようにして産卵を促します。
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ベタと同じアナバスの仲間の
ブルーコーラルグーラミィの泡巣。
ベタの泡巣もほとんど同様である。
雌から生み出される卵は直径約0.5〜0.8mmほどで、1回の産卵数は80〜150粒。雄によって受精させられたうえ、1粒づつ丁寧に泡巣に付着させられます。
一方、産卵が終わった雌は、雄によって泡巣の付近から追い払われ、以降の育仔は雄が1尾で行ない、卵は水温26〜28℃で2日程度で孵化します。 なお、安価で市販されているグーラミィ類にも、ベタと酷似した繁殖形態を有する種が多くいます。


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