1970年代、ディスカスの飼育はきわめて難しいものとされ、一部の熟練した愛好家だけに楽しまれていました。しかしその後、ディスカスの養殖技術が確立され、人間に飼育されることに慣れたディスカスが市場に流通するようになりました。そして現在では、丈夫で飼育しやすいさまざまな品種のディスカスが、観賞魚店で販売されています。

ところで、ディスカス飼育にはどんな楽しみ方があるのでしょうか?

まずひとつは、美しい個体を上手に飼育するというものです。これは、ディスカス初心者でも楽しめる飼育方法で、第1部で紹介した「テトラ EXパワーフィルター」をセットしたGA60水槽に、一般的な熱帯魚の代わりにディスカスの幼魚を入れれば、簡単に楽しむことができます。

もうひとつは、上と同じ水槽セットの「テトラ人工水草」の代わりに本物の水草を植えて、同じようにディスカスを入れるという飼育方法です。この飼育方法を楽しみたい場合は、植え込んだ水草が根付いてからディスカスを泳がせるようにしなければならないので、最低でも3週間ぐらいは、ディスカスを入れずに水草だけの状態で水槽を運転しておかなければなりません。

最後は、水槽に底砂や水草、流木などのアクセサリー類を一切入れず、ディスカスの雄雌のペアーだけを入れてその繁殖を狙う飼育方法です。このように、アクセサリー類が一切入っていない水槽のことを、「裸の水槽」という意味の「ベアータンク」と呼ぶため、このような飼育方法は、ベアータンク飼育と呼ばれています。

ここに記したディスカスの三つの飼育方法は、いずれも「テトラ EXパワーフィルター」を使って楽しむことができますが、一般の熱帯魚とは違うディスカスならではの注意点もいくつかあります。それを以下に列記しておきます。
   
ディスカスは一般の熱帯魚よりもやや高めの水温を好みます。一般の熱帯魚は24〜26℃で飼育しますが、ディスカスはそれよりもやや高い28〜30℃の水温で飼育してください。
ディスカスは一般の熱帯魚よりも水質に神経質です。一般の熱帯魚を飼育する場合、水槽に入っている魚の尾数にもよるものの、だいたい2週間に1度、全体の3分の1ぐらいの水替えで問題はありません。しかし、ディスカスは特に新鮮な水質を好むので、水槽全体の半分(2分の1)ぐらいの水替えを、最低でも1週間に1度はおこなってください。
ディスカスは一般の熱帯魚よりも餌の好みがうるさいです。一般の熱帯魚に比べて、ディスカスは餌の好き嫌いが激しいので、購入した観賞魚店でどんな餌を与えているのかを聞いて、まったく同じ餌を与えるようにしてください。しかし、根気よく慣らせば「テトラ ディスカス」や「テトラ ディスカスブリーダー」などもよく食べるようになります。
ディスカスはできるだけ驚かさないようにします。これは一般の熱帯魚でもそうですが、ディスカスは特にストレスに弱いため、叩くなどして水槽に衝撃を与えたり、照明をパチパチと点けたり消したりするなど、いたずらにストレスを与えないようにしてください。
「ワイルド」とか「採集個体」と呼ばれている原種ディスカスよりも、人間の手で養殖された改良ディスカスのほうが「人馴れ」しているため飼育が容易です。ですから、ディスカス飼育の初心者のかたは、廉価で丈夫な改良ディスカスから始められることをお勧めします。

美しいディスカスたち

改 良 品 種
レッドターコイズディスカス
ブルーのホリゾンタルラインの幅が広い個体や、逆に狭い個体などバラエティーに富む。また、地色の赤も濃淡の個体差が見られる。
ターコイズディスカス
いわゆる「ベタ青ディスカス」と呼ばれるタイプで、ブルーの濃淡の違いや体型の違いからさまざまな品種に分かれている。
スネークスキンディスカス
爬虫類のヘビ皮のような柄を持つ品種。1990年代に突然変異的に出現した個体を固定することで現在のような品種となった。 
     
原 種
ヘッケルディスカス
体の中央のバーチカルストライプが特に太いのが特徴。生息水域の違いによって体色が異なるいくつかのバラエティーが存在する。
グリーンディスカス
色彩や柄には生息水域による違いと個体ごとの違いがある。さまざまな改良品種作出の際のベースに用いられることが多い。
ブルーディスカス
色彩と柄のバラエティーが多く、グリーンディスカスと同様にさまざまな改良品種作出に際してそのベースとなっている。


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